フラッシュレポート
フラッシュレポート
「フラッシュレポート」は、子どもの事故による傷害の報道があったときに、いち早くその事故について検討し、再発予防に向けた提案をするものです。 報道から得られる情報はごくわずかですが、そのわずかな情報から、予防につながる要素を見つけ、発信していきます。
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引用した報道の内容
FNN(フジテレビ系) 配信日:2017年5月6日
10歳の男の子が川に転落し、男性が救助した瞬間をカメラがとらえていた。ゴールデンウイーク終盤、こどもの日。子どもの成長を願う「泣き相撲」に、ニジマスのつかみ取り。子どもたちは元気に遊んでいたが、怖いのは水の事故。
大分・豊後大野市では、10歳の男の子が川に流されるという事故が起きた。視聴者が撮影した映像には、川に流される男の子が映っているのが確認できる。あわやの事態。すると、危険を顧みず、川に飛び込む男性の姿があった。
懸命に泳ぎ、男の子に追いついた。偶然現場に居合わせたFNNのカメラも、緊迫の瞬間をとらえていた。
一般的に、溺れた人を泳いで救助するのは、危険な行為。苦しさのあまり、もがく男の子。それでも男性は、冷静に男の子をあおむけにし、呼吸をさせていた。そして、男の子は無事救助された。助けた男性は、75歳の医師だった。救助した医師・宇野克彦さんは「『子どもが流れているんです』って誰か叫んでいて。よかった、一緒に溺れるかと思った。医療やってるから知っている。(助けるには)どうしたらいいかっていうのは」と話した。
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再発防止に向けた提案 ~変えられるものを変える~
地元商工会が主催し、自治体も後援するイベントで、10歳の子どもが川に落ちて流され、それを75歳の男性が救助しました。子どもも男性も共に無事だったことは何よりですが、川や沿岸で遊ぶ時にライフジャケット等救命具を身に付けないことも、自ら川に飛び込んで落水者の救助に向かうことも、共に「川遊びの原則」に反していると言わざるを得ません。
川や海、湖など自然水域に行くときは、おとなも子どもも必ずライフジャケットを着用しなければなりません。警察庁の「平成27年における水難の概況」によりますと、平成27年中に水難事故で死亡または行方不明になった子ども(中学生以下の者)は53人。事故が発生した場所は、多い順に、河川:23人 (43.4%)、海:15人 (28.3%)となっています。「河川」には海のような浮力がないため、さらにライフジャケットの必要性が増します。また、ライフジャケット着用時に落水して川に流された場合の正しい姿勢(ホワイトウォーターフローティングポジション)も練習しておくべきでしょう。
また、溺れている人を見たら飛び込んで助けようとせず、岸からロープや棒、水を入れた2リットルのペットボトルなど「浮き」になるものを投げ入れ、同時に救助を要請するようにします。救助した人も一緒に溺れてしまう「二次災害」を防ぐためです。
今回は結果的に両者とも無事だったこともあり、多くの人が救助した男性の行為を称賛していますが、このような報道が広がることで、「自分も救助できるかもしれない」「溺れている人を見たら勇気を持って飛び込こもう」と考えることがないようにしなければなりません。報道機関にもただ称賛するのではなく、ライフジャケットの重要性や正しい救助方法についても併せて報道していただきたいと思います。今回の事例を再発防止に生かすことも、メディアの役割です。
再発防止に向けた提案
豊後大野市のホームページにこのイベントの案内が掲載されており、そこには「釣具一式貸出し(エサ付き)」と書かれています。今後は釣具一式と共に、ライフジャケットも貸し出していただきたいところです。同時に、多数の子ども達が川に集まるこの機会をとらえ、ライフジャケットの重要性を学び、実際に着用体験をする、ということを行っていただきたいと考えます。
第一回配信日:2017年5月6日
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その他の報道
大分合同新聞
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追加情報
本イベントの告知記事 第16回大野川子どもふれあいどんこ釣り大会
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傷害の概要
傷害の種類 溺水 子どもに関する情報 10歳 男児 関連する製品・環境 川 発生日 2017年5月5日 発生場所 大分県豊後大野市犬飼町下津尾 大野川 気象条件 晴れ -
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No.001