フラッシュレポート
フラッシュレポート
「フラッシュレポート」は、子どもの事故による傷害の報道があったときに、いち早くその事故について検討し、再発予防に向けた提案をするものです。 報道から得られる情報はごくわずかですが、そのわずかな情報から、予防につながる要素を見つけ、発信していきます。
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引用した報道の内容
朝日新聞デジタル 配信日:2017年9月9日
【朝日新聞デジタル 4歳が電車と接触し転倒、頭骨折 横浜、東急田園都市線(9/9)】
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再発防止に向けた提案 ~変えられるものを変える~
駅のホームで4歳児が電車と接触、転倒して頭部外傷を負った事故です。 事故が起きた東急田園都市線青葉台駅には可動式ホーム柵(いわゆる「ホームドア」)は設置されておらず、 従来型の固定式安全柵が設置されています。報道によると、 この男児は当該電車から降りた後、 ホームを走っていてこの固定式安全柵に接触、 そのはずみで背負っていたリュックサックの一部が電車に接触して 転倒したということです。 Twitterに投稿された情報や画像によると、当該電車は「
東武鉄道クレヨンしんちゃんラッピングトレイン」という電車で、 車体に「クレヨンしんちゃん」のイラストが描かれています。 当該男児はこの「しんちゃん」 のイラストをよく見ようと走り出したのかもしれません。 Twitterには当該電車が青葉台駅のホームを出た直後、
線路上に停止している写真も投稿されています。 その写真によると、 電車の1両目の半分程度が駅舎から出ているように見えますので、 接触は電車が走り出した直後に起きたのではないかと考えられます 。 再発防止に向けた提案
昨年12月に制定・発行されたJIS Z 8050「安全側面-
規格及びその他の仕様書における子どもの安全の指針」 の序文には、次のように書かれています。 「子どもは,リスクを経験したり認識することなく,
生来の探索心を抱いて大人の世界に生まれてくる。子どもは, 必ずしも意図されたものではないが,必ずしも“誤使用” とはいえない方法で, 製品を使用し又は周辺環境との関わり合いをもつことがある。 その結果,傷害を負う潜在的な可能性は, 特に幼児期から思春期にかけて大きくなる。 子どもを見守ることで, 常に大きな傷害を防止又は最小限にできるわけではない。 したがって,しばしば,追加的な傷害防止の戦略が必要になる。」 今回の事故に当てはめてみると、この4歳男児は「
このままホームを走り続けると電車にぶつかるかもしれない」「 走り始めた電車に接触すると跳ね飛ばされてケガをするかもしれな い」というリスクを認識することなく、「 しんちゃんのイラストをよく見たい」「触ってみたい」 という好奇心だけを抱いて電車の横を走り出し、 結果的に電車に接触して転倒、 大きな傷害を負うことになりました。 男児には祖父が付き添っていましたが、 男児の妹も連れていたということで、その「見守り」は「 常に大きな傷害を防止または最小限にできるわけでは」 なかったと言えます。 この事故を予防するためにはどうしたらよいでしょうか?
まず鉄道事業者に進めていただきたのは「可動式安全柵」 の設置です。東急電鉄のウェブサイトによると、 各線におけるホームドア設置が急ぎ進められているようです( 青葉台駅については「予定が決まり次第お知らせします」 と記載されています)。http://ii.tokyu.co. jp/homedoor/ ホームドアと電車の間に挟まれる事故も起きていますので、
ホームドアも完璧とは言えませんが、 もしこの青葉台駅にホームドアが設置されていたら、 今回のような事故は起きなかったのではないかと考えます。 子どもの好奇心を抑制することは不可能ですし、保護者(
今回の場合は祖父)の見守り力を強化することも困難です。「 保護者が見ていなかったから」で済ませるのではなく、 ホームドア未設置駅における子どもと電車との接触を予防するため の方策を、鉄道事業者を含め検討・実施する必要があります。 第一回配信日:2017年9月12日
第一回配信日:2017年9月28日
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傷害の概要
傷害の種類 骨折 子どもに関する情報 4歳 男児 関連する製品・環境 電車、固定式安全柵 発生日 2017年9月9日 発生場所 東急田園都市線青葉台駅(横浜市青葉区) 気象条件 不明 -
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No.002