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おしらせ

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シンポジウム「これで防げる 学校体育・スポーツ事故ー繰り返されるプール事故から子どもを守るー」ふりかえり

2018年6月9日開催 

シンポジウム「これで防げる 学校体育・スポーツ事故〜繰り返されるプール事故から子どもを守る〜」

 

会場でお寄せいただいたご意見やご質問について 

 

シンポジウム当日は多くの方に会場にお越しいただき、誠にありがとうございました。会場では多くのご意見やご質問をお寄せいただきましたが、お時間に限りがあり、すべてのご質問にお答えすることはできませんでしたので、あらためてこのページでお答えいたします。

 

 

報告1「JSCデータに見る学校プール事故」

 

Q:傷害を負う子どもの男女比は3:2ということでした。年齢による差はなく、人数構成比によるとのことでしたが?

A:傷害を負う子どもの男女比は、年齢や人数にかかわらず、概ね3:2です。

 

Q:ラッシュガードの着用を勧めた方が良いのではないかと思いました。打撲、骨折の予防になるのではないでしょうか?

A:ラッシュガードの着用は日焼けや擦過傷の予防に役立つと考えられますので、活用していただきたいと思います。

 

Q:溺水の半分は下垂体内出血が原因であることも説明すべきではないでしょうか?

A:下垂体内出血が原因であるケースもないとは言えませんが、溺水の多くは肺に水が入って呼吸ができなくなることが原因です。

 

報告2「スタート事故」

 

Q:日水連の基準は絶対ではないという話がありました。では学校は何を基準に考えればよいのでしょうか?

A:現在、安全基準を策定しようと日水連が動き始めました。絶対的安全値は生徒の身長+20~30(腕を伸ばした状態)です。

 

Q:水深1.5メートルという日水連の基準の根拠はなんでしょうか? その根拠の正しさを証明しなければ提言として弱いのではないでしょうか?

A:その通り、現状ではエビデンスが少なすぎて、1.5mでも絶対の安全値とは言えません。しかし、現在までの指導で1.5mからはヒヤリ・ハットが少なかったと思っています。

 

Q:学校プールの水深やスタート台の高さについて基準はあるのでしょうか?

A:学校は、日水連の規程でスタート台の高さを決めていました。したがって学校の規程はありません。

 

Q:日水連の基準を守っていても、事故が起きた場合に教員は責任を問われるのでしょうか?

A:日水連の基準は、絶対的なものではなく、また、あくまでも経験のある中学生・高校生を念頭に置いたものですので、日水連の基準を守っていても、事故が発生した具体的な状況のもとで、指導上の過失があれば、教員が責任を問われることになります。

 

Q:基準を満たさないままスタートを実施している学校が33%もあるということですが、その背景は?

A:中体連等の大会においては、飛び込みスタートが実施されていることを背景として、大会へ向けて、限られた施設、限られた選択肢の中で、基準を満たさない施設において練習を行う、という選択をされているのであろうと考えております。

 

Q:教育現場で、児童・生徒にどの程度危険についての具体的な指導・説明がされているのかが気になります。ただ「飛び込み禁止」と言われても、子どもは理解できないのではないでしょうか?

A:その通りです。だからこそ、近隣の深いプールで飛び込みスタート練習を実施してほしと思います。また、スタート事故の危険性は日本スポーツ振興センターから8分程度のDVDで紹介されています。そちらを生徒にも見せていただきたいと思います。私(井口)と早稲田大学の金岡先生で作りました。

こちらのページの「3 水泳の事故防止〜プールへの飛び込み事故を中心に〜」をご覧ください。

 

 

Q:部活動で、飛び込みスタート練習を行いたい場合はどうすればよいでしょうか?

A:地域の大会等を実施しているプールがあれば、そのプールのスタート台付近の推進を調べ、十分な深さであれば定期的に時間借りして練習しましょう。高額になるのであれば、複数校合同で練習してください。

 

Q:外部プールなど、十分な水深が確保されたプールでも飛び込みスタートは禁止すべきでしょうか?

A:原則、水深が保証されておらず、スタート台も高い場合はスタート練習は禁止すべきだと思います。

 

Q:床面可変式のプールと、コンクリート製プールとでは、衝突時の衝撃力にどの程度差が出て、重篤度はどの程度違うものでしょうか?

A:飛び込んだときの入水角度、スピード、床面の素材などによって重症度は変わりますので、一概に言えません。

 

Q:事故調査委員会が設置される場合とされない場合、その違いを教えてください。

A:現状では、文部科学省のガイドラインに基づき、各教育委員会の判断で設置されるか否かが決められている状況ですが、重大な事故であり、教育上の過失が問題となりうる場合は、事故調査委員会を立ち上げるべきです。事故調査委員会が設置される場合とされない場合とでは、事故原因究明の客観性と被害者、関係当事者の納得という意味で、大きな違いがあると考えられます。

 

Q:事故調査委員会=第三者委員会、ということでしょうか?

A:シンポジウムの報告の中では、イコールの意味で使用していました。

 

報告3「溺水事故

 

Q:幼児のプール遊びにおいてベストな水深はどのくらいでしょうか?あまり浅すぎると転倒等の危険があると聞きました。

A:鼻と口を覆う水があると溺れます。その状態が5分以上続くと溺水、溺死となります。ということで、安全な水深を提示することはできません。

 

Q:部活動中の事故と体育授業中の事故とで、教員に求められる注意義務の程度は異なるのでしょうか?

A:具体的な指導内容や生徒の泳力等を踏まえ、教員に求められる注意義務の具体的内容は個々の事故に応じて異なると考えられます。部活と体育を比較して一般化することは難しいでしょう。

 

Q:今回の講演内容は、全国の保育施設職員のどのくらいの人が知っているのでしょうか?

A:今回の講演内容の周知度については調べてみないとわかりませんが、基本的な事項については4月24日に消費者庁が公開した実態調査に示されています。

 

Q:大和市幼稚園プール事故で、担任教諭は有罪で園長は無罪という判決に違和感があります。どのように考えればよいのでしょうか?

A:同事故での起訴罪名は業務上過失致死罪でしたが、担任教諭と園長それぞれの過失の根拠となる注意義務の具体的内容が両者で異なるということでしょう。なお、刑事裁判と民事裁判は、目的もルールも異なり、民事裁判において園長が代理監督者として民事責任を認められたことは、刑事裁判において園長が業務上過失致死罪で有罪となることを意味しません。

 

Q:プール活動を行う前に園児に危険性や約束を伝える際に、紙芝居やイラストを使おうと考えていますが、他にも効果的な方法はありますか?

A:映像も効果的です。ネット上で公開されている動画なども活用されてはいかがでしょうか。

 

Q:消費者庁のガイドラインに、安全なプール活動のための指導法や研修内容などは掲載されていますか?

A:ガイドラインには、具体的な指導法や、先生方のための研修内容などは書かれていません。

 

Q:保育園の教職員を対象とした研修内容を知りたいです。ウェブ上で公開されているものもありますか?

A:今回のシンポジウム主催団体が作成した研修用のカリキュラムはありませんが、保育園の先生方を対象にした研修は数多く開催されています。
例:日本保育協会

 

Q:保育園で、お勧めの指導法、逆に行わない方が良い指導法があれば教えてください。

A:上記と重複しますが、自治体や公的機関等が主催する保育研修が行われています。まずは、そのような研修を受講されることをお勧めします。

 

Q:指導案の作成に関し、
①学年ごとの指導案
②初回から最終回まで各回ごとの指導案
③指導者研修会の実施
について教えてください。

A:ここでは回答しかねます。指導者講習会は東京都中学校体育連盟で毎年1月に1回、指導者講習会が開かれています(主任講師:井口)。参加のご希望があれば井口までご連絡ください。指導案につきましても私(井口)に直接ご連絡いただければ、お教えできると思います。

※連絡を希望される場合は、info@safekidsjapan.orgにメールをお願いいたします。

 

Q:『学校における水泳事故防止必携』(2018年改訂版)に保育園の内容は含まれていますか?

A:残念ながら水泳指導必携は保育園児・幼稚園児を対象にしておりません。小学生以上が対象です。※統計データには若干含まれています。

 

Q:日本には監視員の資格試験はないのでしょうか?もしないとしたら、それはなぜですか?

A:国が定めた資格はありませんが、消防署や、日赤などの民間団体が資格試験や認定制度を設けています。
例:
◆消防署
東京消防庁 救命講習
◆日本赤十字社
水上安全法
◆日本体育施設協会
公認水泳指導管理士養成講習会
日本プール管理業協会
プール監視救助員資格認定講習

 

Q:アメリカの監視体制は日本より厳しいようですが、それはなぜなのでしょうか?また、日本でも同じことができるでしょうか?

A:アメリカにもライフガードに関する連邦法はなく、アメリカ赤十字社、アメリカライフセービング協会、全米YMCAの三者が共同で発行している基準を用いているようです。

 

Q:生徒同士が助け合える体制づくりが必要と考えますが、そのような指導は現状どの程度実施されているのでしょうか?プール指導開始前の指導などは行われているのでしょうか?

A:4人グループでの水泳(泳法)練習は実施されています。実施の際には、必ず教師から確実な練習体系の役割分担と注意が必要になります。必要であれば、井口までご連絡ください。

※連絡を希望される場合は、info@safekidsjapan.orgにメールをお願いいたします。

 

Q:見学生徒の監視を信頼してよいのでしょうか?その生徒に責任が発生することはありませんか?

A:私(井口)は水泳授業事前授業に1時間かけ、安全教育を徹底していました。「変だと思ったら先生への連絡」「生徒自らが助けに行かない」などの約束事項と蘇生法、救助法を教えてから入水させていました。詳しくは井口に直接ご連絡ください。

※連絡を希望される場合は、info@safekidsjapan.orgにメールをお願いいたします。

 

Q:幼・保における監視体制強化のため保護者に補助で監視をしてもらった場合、事故が起きたら保護者に法的責任は問われますか?謝金を支払った場合、ボランティアの場合、それぞれ教えてください。

A:保護者が園の指揮監督下で監視業務を補助した場合、事故発生時にはその保護者も法的責任を問われる可能性が高いです。対価の有無は、結論に多少の影響を与えるかもしれませんが、本質的要素ではないでしょう。

 

以上 

 

参加された方を対象としたアンケート結果

 

シンポジウムに参加された方を対象としたアンケート結果については、下記のとおりです。

アンケート集計結果

 

 

 

 

 

 

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