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プロジェクト

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乾燥した豆類の包装袋に注意喚起表示を付することについて(業界への要望)

 

◆現状

 乳幼児が、節分で使用する「福豆」やピーナッツなど乾燥した豆類により窒息または誤嚥する可能性があることは広く知られており、保育者研修等でも度々指導されています。しかし依然として乳幼児が豆類の摂取により重大な傷害を負う事例が発生していることから、従来の啓発中心の予防策では不十分であると考えています。

 

◆はちみつの例

 「はちみつ」の容器包装には「1歳未満の乳児には食べさせないでください」との文言を明瞭に記載することが定められています(「はちみつ類の表示に関する施行規則」より)。ピーナッツ等の乾燥した豆類も、乳幼児には危険な食品ですので、はちみつ同様、「4歳未満の乳幼児には食べさせないでください」と包装袋に記載する必要があります。

 

◆業界への要望

 一部の豆類の包装袋には、「お子様が喉に詰まらせないよう必ずそばで見守ってあげてください」と書かれているものも見受けられますが、見守っていても窒息や誤嚥を予防することはできません。そこで、Safe Kids Japanと子どもの事故予防地方議員連盟は、豆類を含む製品を製造・販売している事業者団体に対し、下記のとおり要望書を提出することといたしました。

 


 

「豆類」の包装袋に乳幼児の誤嚥に関する注意喚起表示を配することについて

(要望)

 

 日ごろより子ども達の事故予防活動に積極的に取り組んでおられることに対し、感謝と敬意を表します。私たちNPO法人 Safe Kids Japanと子どもの事故予防地方議員連盟は、子どもの事故による傷害(けが)の予防を目的として、協働して活動しております。

 

 さて、すでにご承知のとおり、本年2月3日、島根県松江市内の保育施設において「節分」の行事として豆まきをした際、その豆を口に入れた 4 歳園児の喉に豆が詰まり、当該園児が窒息して死亡するという事故が発生しました。伝統的な行事の最中にこのような重大な事故が発生し、未来ある園児が死亡したことは大きな損失であり、同じような事故が二度と起きないよう、社会全体で予防活動を進めていく必要があると考えます。

 

 乳幼児が、節分で使用する「福豆」やピーナッツなど乾燥した豆類によって誤嚥する可能性があることは、消費者庁の「子ども安全メール」(No. 274, 325, 386, 437, 487)等でも度々発信され、保育士を対象とした研修等でも繰り返し指導されています。保育施設等では豆の代わりに新聞紙を丸めたものを豆に見立てる、一般家庭では豆が入った小袋を撒く豆まきをするといった工夫がされ、乳幼児には豆に代わる食品(ボーロなど)を食べさせるケースも増えてきています。しかし今回、保育施設であっても豆類の危険を認識しておらず、結果として死亡という取り返しのつかない事態を招いてしまったことから、従来の消費者に対する啓発中心の予防策では不十分であることが明確になりました。

 

 「はちみつ」にはボツリヌス菌が混入していることがあり、これを食べると乳児の腸内でボツリヌス菌が毒素を産出し、呼吸が止まって死亡することがあります。このため、乳児にははちみつを食べさせないよう指導されており、さらに、はちみつの容器包装には「1 歳未満 の乳児には食べさせないでください」との文言を明瞭に記載することが定められています(「はちみつ類の表示に関する施行規則」より)。ピーナッツ等の乾燥した豆類も、今回の窒息死の例でわかるように乳幼児には危険な食品ですので、はちみつ同様、「4 歳未満の乳幼児には食べさせないでください」と包装袋に記載する必要があると考えます。

 

 すでに一部のピーナッツ等が含まれた豆製品の包装には、「のどに詰まらせないよう必ずそばで見守ってあげてください」と書かれていますが、見守っていても誤嚥を予防することはできません。繰り返しになりますが、上記の通り「4歳未満の乳幼児には食べさせないでください」と記載する必要があると考えます。

 

 長くなりましたが、具体的には、下記の再発予防策を実施していただきたいと考えます。

 

1. 一般に流通・販売される、乾燥した豆類が入っている袋には、下記の対応をお願いします。

  • 「4歳未満の子どもには、豆は食べさせないでください」と大きな文字で記載してください。
  • 合わせて、 「子どもが泣き切った後や驚いたときなど大きく息を吸い込んだときに、口内にある豆が気管に入ります。子どもが泣いているときは、豆を食べさせないでください」と小さな文字で記載してください。

 

2.上記が実施された際に、プレスリリースをしてください。

 

以上、皆さま方にはお手数をおかけすることになり大変恐縮ですが、子ども達の誤嚥による重大な傷害を予防するため、どうぞよろしくご検討のほどお願い申し上げます。

 


 

NPO 法人 Safe Kids Japan  理事長 山中 龍宏(小児科医)

 

子どもの事故予防地方議員連盟 会長 佐藤 あつし(東京都墨田区議会議員)

 

連絡先:NPO 法人 Safe Kids Japan 

〒157-8535 東京都世田谷区大蔵2-10-1

国立成育医療研究センター 社会医学研究部内 (担当:事務局 太田) 

TEL:080-1096-1809   メール:info@safekidsjapan.org

 

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